このページ内の目次
1. 不動産相続とその手続きの期限
相続には色々な手続きがありますが、その中で不動産相続についてはどのような手続きがあり、期限はどれくらいあるのでしょうか?
ここでは、不動産相続の手続きとその期限を見ていきましょう。
2. 相続の手続きの流れ
一般的には、相続は以下のような流れで手続きをしていきます。カッコ内が、期限のある手続きになります。
- 相続発生(被相続人の死亡)
- 死亡届の提出、葬儀
- 遺言書の確認、ある場合は裁判所で「検認」が必要
- 相続人がどのくらいいるか調査
- 相続財産がどれくらいあるか調査
- 相続放棄や限定承認をするか確認(3か月)
- 準確定申告(4か月)
- 遺産分割協議(ケースによっては遺産分割調停や審判も)
- 遺留分減殺請求(相続開始と遺留分侵害があったことを知ってから1年間)
- 不動産の相続登記、預貯金払い戻し等
- 相続税の申告・納税(相続開始後10ヶ月)
- 相続税の軽減措置の適用(相続税申告期限後3年)
必要な手続きが多いですよね。見ているだけで大変な印象を受けてしまいます。
3. 手続きの中で不動産相続に関わるものは?
期限のある手続きで、不動産相続に関わるものは、6.、7.、9.、11.、12.になります。
……そうなんです、不動産は期限のある手続きすべてに関わりがあるんですね。
不動産は資産の中でも高額です。資産としては分割しにくいです。1つとして同じものがなく、
1つずつ見ていきましょう。
3-1 6.相続放棄
相続放棄は、亡くなった人の遺産や借金を一切受け継がないための手続きです。亡くなった人の住所を管轄する家庭裁判所で行います。
期限は、相続の発生から3か月以内です。特別な事情があれば、相続の発生から3か月を経過しても相続放棄が認められる場合もあります。
通常は、相続財産と借金を比較して、相続放棄を行うかどうか判断します。
相続財産 > 借金 → 相続手続き
相続財産 < 借金 → 相続放棄
相続財産に不動産が含まれる場合は評価の問題が発生します。
3-2 7.準確定申告
準確定申告とは、亡くなった人が所得税の確定申告をしていた場合、相続人が代わりに行う手続きです。亡くなった人の住所地の税務署で行います。
期限は相続があることを知った日の翌日から4か月以内です。
不動産に関しては地代家賃が発生していたかどうかを調べる必要があります。
3-3 9.遺留分減殺請求
遺留分とは、法定相続人に保証している最低限の遺産の割合のことです。
遺留分の減殺請求とは、遺言に沿って遺産分割をした場合に、遺留分を侵害されている相続人が、侵害されている部分を他の相続人に対して請求することです。まずは当事者で話し合い、まとまらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
期限は相続の発生および遺留分侵害されていることを知ったときから1年以内です。また、相続の発生から10年以内に請求の手続きをする必要があります。
不動産の価格が判明していなければ、侵害されているかどうかの判断がつきにくいですよね。
3-4 11.相続税の申告・納税
相続税の申告は、相続において一番大きな手続きであり、一番悩むところです。
しかし、すべての人にとって必要な手続きではありません。相続する人やその人数によって変わりますが、遺産の総額が3,600万円以下であれば、相続税の申告は不要である、といえます。
詳しくは別のコラムを参照してください。
相続税申告手続きの期限は、死亡日から10カ月以内です。申告期限までに、相続税の申告書を管轄の税務署に提出し、かつ相続税の納付まで行う必要があります。
3-5 12.相続税の軽減措置の適用
相続税の申告手続きはしたものの、適切な軽減措置を適用していない場合もあります。
期限は相続税の申告期限後3年以内で、修正申告という形でできます。
大きく分けて、「控除」と「特例」があります。
3-5-1 12-1. 相続税の控除
基礎控除:3000万円+(600万円×法定相続人の人数)
贈与税額控除:相続発生より3年以内に贈与した時、支払った贈与税を相続税から控除
配偶者控除:1億6,000万円もしくは法定相続分のどちらか高い方まで控除
未成年者控除:6万円×(20−当時の年齢)
障害者控除:一般障害者:(その障害者が85才になるまでの年数)×10万円
特別障害者:(その障害者が85才になるまでの年数)×20万円
相次相続控除:10年以内に2回相続が発生した場合
前回の相続時に支払った相続税額 × {1-(前回から今回までの経過年数×10%)}
外国税額控除:海外で支払った相続税を日本で支払う相続税から控除
相続時精算課税制度贈与税額の控除:生前に相続時精算課税制度を利用して贈与税を支払っていた場合、支払った贈与税を相続税から控除
3-5-2 12-2. 相続税の特例
小規模宅地等の特例:土地の評価額を50~80%減額
条件が複雑ですので、検討が必要です。
4. 不動産相続の手続きはお早めに
いかがでしたか?
不動産に普段接していない人は、決められた期限内に手続きができる様、準備をしていきましょう。信頼できる専門家に相談できるといいですよね。
不動産の活用には、実践すべきルールがあります。
不動産の悩みを解決することで、豊かな人生を創造できます。
不動産の悩みの解決には、ノウハウの実践が必要です。
是非、あなたも、不動産コンサルティングを通じてこのルールを実践し、
ご自身の相続に活かしていきませんか?
たなか不動産鑑定士事務所が、そのお手伝いをいたします。
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