土地の価格は、隣りにある土地でも、間口・奥行・高低差等によって違いますし、土地の形状、道路付けの良さが悪ければ良い土地よりも価格が低くなるというように、様々な要因により異なっています。また、商業地、工業地、住宅地の違い、住宅地でも少し離れている場所にある等、所在している地域が異なれば価格水準そのものも異なってきます。
そこで、ある土地の価格を知りたい場合、一般に公表されている「地価公示」・「地価調査」からその土地の価格を調べてみると良いでしょう。
「地価公示」は、地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月下旬に官報で公示するものであり、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格算定の規準となり、また国土利用計画法に基づく土地取引の規制における土地価格算定の規準となる等により、適正な地価の形成に寄与することを目的としています。
公示価格は、地価公示法に基づいて、土地鑑定委員会が、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って、当該標準地の1㎡当たりの正常な価格を判定しています。
「地価調査」は、国土利用計画法による土地取引の規制を適正かつ円滑に実施するため、国土利用計画法施行令に基づき、都道府県知事が毎年1回、各都道府県の基準地について不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、これを審査、調整し、毎年7月1日時点における正常価格を公表するものです。
これは、国が行う地価公示とあわせて一般の土地取引の指標ともなっています。
これらの地価は、都道府県庁、市役所、町村役場、図書館等に冊子が備え付けられており、そちらで閲覧できます。また、国土交通省のホームページ「土地総合情報システム」(令和2年1月現在)でもご覧になれます。
ある土地の価格を知りたい場合、まずその土地に近い地価公示標準地、地価調査基準地をいくつか探してみて下さい。標準地同士で価格が異なっていると思います。探し方は以下の点に留意すると良いでしょう。
①その土地がどの用途の地域に属しているか
標準地番号、基準地番号の分類に相当しています。「市町村名○○-●●」という形式で表示されていますので、○○の部分の数字で見分けて下さい。
・住宅地域(用途番号は0(空白))
・商業地域(用途番号は5)
・準工業地域(用途番号は7)
・工業地域(用途番号は9)
・市街化調整区域内の宅地(用途番号は10)
住宅と店舗、住宅と工場等が混在している地域やもともと商店街だったところが住宅が増えて住宅地に移行している地域等、分類が難しいこともありますが、周辺の土地の利用の状況等の情報をもとに探してみましょう。
②その土地が都市計画法上のどの用途地域に属しているか
①は用途的な観点から、その土地の持つ特性に応じて分類されるのに対し、②は行政的な観点による現実の利用用途の違いを前提として定められているもので、利用用途の誘導といった側面を持つものです。
これは各市町村の都市計画担当部署(都市計画課、建設課等)で調べることができます。調べる土地から一番近くの地価公示標準地、地価調査基準地であれば用途地域も同じことが比較的多いでしょう。
さて、これで周辺の土地がどのくらいの価格なのかはある程度分かったと思います。
次に、調べようとする土地と、標準地・基準地の、地積、形状、前面道路の方位・幅員・道路種別、上下水道ガス等供給処理施設の整備の状況、最寄駅までの距離、建ぺい率・容積率の違い等を比較してみましょう。調べようとする土地おおよその価格が分かります。住宅地であれば、一般的に、道路の方位が北側よりも南側の方が価格が高い、幅員は広い方が価格が高い、供給処理施設がより整備されている方が価格が高い、最寄駅までの距離が近い方が価格が高い等、条件の違いにより価格が異なってきます。
また、ここで注意しなければならないのは、地価公示は毎年1月1日現在のものであり、地価調査は毎年7月1日のものである点です。価格は時期により変動しますから、売買したい時期等に合わせて少し修正を加えてみましょう。
調べる土地から近い地価公示標準地、地価調査基準地の本年の価格と前年の価格を比較してみて下さい。割合により、前年から価格がどの程度上昇または下落しているのかが分かります。これを参考に調べる土地の価格にも修正を加えて下さい。
これである土地の価格がどのくらいの価値があるかは調べることができました。この価格はいわゆる「正常価格」と呼ばれるものです。
しかし、実際の売買では、相続のために早めに処分したい等の売主側の事情、周辺に売買できる土地が少なく、どうしてもこの土地買いたいという買主側の事情、隣りの土地を持っている人が買うといった市場が限定されている場合、建物と一緒の売買で利用方法がある程度制約されてしまう場合等、様々な事情が取引に含まれる場合があり、正常価格よりも高い価格または低い価格で取引されることもあります。取引の内容についても、よく考慮して、判断すると良いでしょう。
※上記の内容(特に後半の部分)にて調べるには専門的な知識と判断が必要となります。また、ある程度の価格帯として把握できるのみであり、何らの証明にはなりません。対外的に証明したい場合、「不動産鑑定士」に不動産の専門家としての判断・意見である「不動産鑑定評価」を依頼することをお勧めします。